アーティスト紹介


悲しみや困難を勇気へと昇華したMONKEY MAJIKの新作『Somewhere Out There』をメンバーが全曲解説

自身も東日本大震災で被災し、ミュージシャンである自分たちが音楽でできることはなんなのか、そして人と して復興に関わるということはどういうことなのかを考えたMONKEY MAJIK。その部分に向き合い、奏でられた楽曲がつまったニューアルバムが『Somewhere Out There』だ。この作品にこめた思いをメンバーの全曲解説でご紹介します。


アルバム『Somewhere Out There』にこめた思いとは?

去年2011年はMONKEY MAJIKにとって特別な1年でした。本当に数多くの出会いがあって曲を作るきっかけをいただいたり、たくさんの人に協力していただいたということも強く 感じていて、あらためて人と人とのつながりというものを感じました。ゆっくりでも日常を取り戻していけてることを感じながら、皆さんへ感謝の気持ちをこめ て作った1枚。収録された11曲の音楽を通して、心の旅に出かけてもらえたら僕たちも幸せです。








「『大切な人に思いをうまく伝えられない葛藤』がテーマ」(メイナード /『ホワイトノイズ』)

 

01.Headlight
人 生を生きていく過程のなかで、ときどき僕らはヘッドライトのなかに閉じ込められてしまうことがあります。動けなくなるまで凍ってしまい、決断できない、も しくはその時点で正しい判断さえもできない。高速のど真ん中に立ち止まって、まぶしく光るあなたのヘッドライトをじっと見ている鹿の様に。人生のクモの巣 に引っかかって逃げ出せない……そんな状況のなかでも人は強い意志の力で、脱出する方法を見つけようとする。そんな気持ちを曲に込めました。(ブレイズ)


02.Black Hole
自 分の人生を生きろ。いつブラックホールに吸い込まれるかわからないのだから。自分の魂に明かりをつけて、それがどんどん伝染していく。テクノロジーやコ ミュニケーションは、いま高速で進んでいる、これをうまく利用しなければ。そして周りの世界と本当につながっていかなければ。僕たちはそのすべてを持って いる!(ブレイズ)


03.ホワイトノイズ
アルバムのなかではわりと最初の方に原型はできていた曲です。「だれか大切な人に伝えたい思いをうまく伝えられない葛藤」をテーマに制作しました。(メイナード)


04.U.F.O
つ いにコンタクトがとれた。僕たちは孤独じゃない……いや、それとも孤独なのか? 常に真実を追求し、それを発見したとき、本当かうそか討論する。僕たちは 常に混乱している。他の人たちだってそうだ。どんなにたくさん知識のひらめきがあっても、自分たちのためにではなく、むしろ逆らって進んでいく。僕たちの 思考はリアルで、でも実はごまかし。僕たちの思考はうそで、でもそれが事実。そしてエイリアンはかっこいい!(ブレイズ)


05.Go with U
初 めは完全アコースティックのみで構成した楽曲でしたが、アルバム全体が完成に近づいたときに改めて通して聴き直してみたら、少しギターの音数を増やしたく なって、結果的にアルバムの最後の方に完成した曲です。タイトルは『Go With U』ですが歌詞は意外とネガティブなことも歌っていてギャップがおもしろい楽曲に仕上がりました。(メイナード)


06.RAIN
ひ とり孤独でいる。心の奥底まで自分を連れて行ってしまった。でもいまはその場所がじっとしているのに必要な場所だから。自分のなかのくもりガラスを拭き取 ると、そこにはなにもなくただ灰色の空に雨が降っていた。食べ物さえ冷たい。そこにそう長くはいられない。ひとりの男の孤独からくる迷いや葛藤をテーマに 制作した楽曲です。(ブレイズ)

「この状況にある僕たちに本当にふさわしい曲」(ブレイズ / 『My Home Town』)

07.足跡
この曲は旅に連れていってくれる曲です。人間みんなが歩む人生と いう名の旅。僕たちは父と母に育てられ、社会に育てられた。でも勇気は自分自身で育てる。赤ちゃんのはじめの一歩から自転車にバランスをとりながら乗れる ようになるまで。それらを完成させるのは自分次第。最後のゴールに到達するためのステップ。赤ちゃんの第一歩から月までの歩行まで。(ブレイズ)


08.My Home Town
僕 たちMONKEY MAJIKは結成当初から小田和正さんの大ファンです。彼の音楽はいつも刺激を与えてくれます。特に『My Home Town』は僕たちの思い入れのある1曲。この曲は主に横浜を歌っているけれど、振り返ってみれば、故郷、僕らの場合は第二の故郷があるということはどれ だけ大事なことなのかを表現するためだったと思っています。東日本大震災のあとは復旧・復興に向けてひとつになり助け合う地域社会を各地で見てきました。 そしてこの曲はこの状況にある僕たちに本当にふさわしい曲でした。長い間故郷から離れている人々もいるかもしれないけれど、戻ったそのとき、ここが自分の 原点なんだと気づくはずだと思っています。(ブレイズ)


09.トビラ
今回の『Somewhere Out There』というタイトルのテーマはこの曲に集約されていると思っています。もともと制作過程でサビメロが2パターンあって、最初にtaxにどっちがい い? と聴いてもらったら「絶対こっち!」といまのメロディーを選んで、すぐに“トビラ”をテーマに歌詞を書き始めてくれてでき上がった曲です。(メイ ナード)


10.HERO
自分のなかのヒーローをいつ見つけてもまったく遅くはないはず。年を取るほど人生はより厳しくなる。自分が自分自身のヒーローになろう。自分のなかに光を見つけるため前進し、人々にその光を見せ、そして今度は彼らを輝かせる。(ブレイズ)


11.木を植えた男
3 月11日の震災後に初めて制作した楽曲です。もともと、震災が起きる前からカナダのアニメーション作家である、フレデリック・バックさんの展覧会テーマソ ングとして曲を制作することになっていたのですが。制作を始める直前に震災が起き、しばらく音楽制作はできない状況が続いて、やっと曲が作れる状況になっ たとき改めて彼の作品を見直して、いま自分たち、そして東北が置かれている状況とリンクしているようにも感じましたし、逆に勇気づけられてその気持ちを反 映できた曲だと思っています。今回の『Somewhere Out There』は1本の映画のようなアルバムになりましたがエンドロールにふさわしい楽曲です。(メイナード)


 

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